top of page
  • 執筆者の写真SHADOW EGG

3話『フラッグ3』

バル研究所の本館の廊下を静かに素早く進むアルフとジン。

このまま正面をまっすぐ進み、左手にあるであろう出口を出れば西館へ向かうための連絡通路がある。

まずはそこに向かうため2人はまっすぐ静かに走る。


すると突然……向かう先の壁からうっすらと影が動いた。

突然見回りか何かを探している様子で2人の人間が曲がり通路の角から視野に入った……覆面の連中だ。

うち1人が耳に手を当てていたが、ほんの一瞬間をおきアルフ達を見て驚いた直後に慌てて構えに入る。

同じくアルフとジンは1度構えを見せてから交戦状態に入った。

このわずか、ほんのわずかの同じように見える『一瞬の間』。

だが互いにとってまったく意味の違う『間』であった。


そもそもフラッグ側においてはこの一瞬の間は本来であれば『奇襲』というメリットを得ていた。

だが間を埋めるのはそのメリットを損なうはず。

だが彼らはその選択を捨てた上でフェアな間で攻勢を仕掛けた。



「侵入者だ!」



そう覆面連中に"言わせた"のだ──



────────────────────



アルフとジンが敵に素早く飛び込む所を狙ってカメラが素早くズームアップし、静止とともに戦闘開始の音が鳴る。

だが音楽は変わらずイベント時のBGMが続いて聴こえている。

始めての戦闘──俗にいうチュートリアルバトルというもの。

画面の右側には二刀の短剣を構えるアルフと堂々と構えるジンのドット絵が縦に並んでおり、左側に敵と思われる覆面の者達が斜めに2体見える。


アルフHP 60/60 EP10 SP15

ジン HP 750/750 EP60 SP10


右下に彼らのステータスが表示されており、アルフの手前から

『攻撃、アーツ、エーテル、防御、道具、逃げる』

と入力するコマンドが表示されていた。


だがアーツとエーテルは薄黒く表示されており今は選択出来ないようだ。

試しにアルフとジンに攻撃を選択する。


コマンドの入力を終えるとすぐさまジンが敵の前に飛び込み敵を一発殴り125ダメージを与える。

ジンと入れ替わるようにすかさずアルフが飛び込み短剣を敵を切るモーションと同時に8ダメージを2回与えた。


戦闘スピードがかなり早くなおかつ短剣が2回攻撃をするという事に、戦闘が楽しいと思ったプレイヤーも多いだろう。

次のターンも攻撃を繰り返し無事勝利をしたがゲーム特有の勝利のファンファーレ音はなかった。


アルフ達は8の経験値と5ゴルドを手に入れた───



───────────────────────────



アルフはその身軽さから相手の懐に瞬時に飛び込む。

その速さに対応しきれなかった覆面の人物は二撃目で剣を弾かれてしまい、アルフはその隙に腹を蹴り飛ばした。


倒れた覆面の人物が上を向くと短剣の切り裂きを向けられていた。

辺りが薄暗い中、幼さ残ってはいるものの表情ひとつ変える事ない少年兵。

その視線に覆面の人物は恐怖を感じた。

アルフは短剣を逆手に持つと柄で頭部を殴り、覆面の人物は気絶した。


一方でアルフよりも早くジンの掌底による一撃によって、もう1人の覆面の人物は倒されていた。

その衝撃で倒れた際に、覆面の人物の耳に付いていた見慣れない通信機が地面を転がる。

それはフラッグ隊が使っていた物とは違うエーテル通信機。

その通信機からノイズとかすかな音が聞こえる。



(……応答……ろ……なに……)



通信機に反応していたマナの残りが切れたのかプツンとノイズの音が消えた。

通信機はその通話両者が通信機そのものに自身のマナを送り込む事で初めて言葉を送る事が出来る。

どうやら覆面連中の仲間の声のようだ。


「よし、気づいたな。これで敵の警戒がこっちにくる」


そう話すジンを見てアルフは黙ってうなずく。

それはアルフも警戒の意識がこちらに来る事を理解していたからだ。

2人は再び移動を開始し、バル研究所の本館を静かに走り抜け外の通路へと抜けた。


まだ夜は暗いが多くの資材が置かれているのが目視出来る。

道中の外部通路。

そして人質と覆面武装集団の首謀者達がいるであろう西館。

ここから先は本館と違い、エーテルライトの明かりが灯しているのがわかる。


外部通路で待ち伏せていた覆面連中も迎撃し、乱立した建物をさらに抜け、西館への入り口へと走り抜けたその時──

大きな影が飛び跳ねるように2人に襲いかかる。

アルフとジンは互いに距離を取るように左右に避け、すぐさま重心を低く戦闘態勢を取った。

2人が見たソレは、明らかにモンスターでもこの時代の技術のものでもない。

目に見えるエネルギーの流れと中心にはコアのようなものがうっすらと光を放っており

それらを保護するかのように金属のような構造をした物体が人の形状で動いている。


「オー導力ゴーレムか……また珍しいモノまで用意したな。ブラック4、まずは左右から関節部に仕掛けるぞ」


2人はゴーレムとの距離を維持しながら互いに斜めに動き、導力ゴーレム間を挟み込むように位置を取った。

ジンが飛び込み、攻勢を仕掛ける────



────────────────────



戦闘画面に入るとジンから会話イベントが発生する。


「アルフ、攻撃でけん制を続ける。

 あいつのコアが見えたらその隙にアーツで一気に仕掛けろ」


攻撃を繰り返し、またダメージを受ける事でさっきまで少なかったアルフとジンのSPの数字が増えていく。

2ターンほど攻撃し続けると導力ゴーレムのコアが露出したようなグラフィックに変わった。

それと同時にチュートリアルの文字が中央に表示される。


戦闘チュートリアル アーツについて

アーツとはSP(スタミナポイント)を消費して使う技です。

SPは戦闘中の行動や被ダメージによって少しずつ上昇していきます。

SPゲージを上昇させるスキルやアイテムなども存在するが魔法などで回復をすると減少します。


初めてコマンドのアーツが選択出来るようになった。

アルフのアーツ「キリングエッジ」、そしてジンのアーツ「オーラショック」


それら選択すると、本来アルフがアーツを使うはずだった……がゲーム内乱数によって、アルフではなくジンが一歩前で構え気合を練るような構えを取った

ジンは敵の前に飛び込み激しい三連撃を繰り出し、380付近もの大ダメージを3連続でたたき出した。

あまりにもの破壊力にゴゴゴゴと山でも崩れそうな音とともに導力ゴーレムは崩れて消えて行った。

ジンのダメージが高すぎた事でアルフのアーツが使えなかった事はいうまでもない。


どうやらこれで、戦闘のチュートリアルは終わりのようである──



────────────────────



導力ゴーレムは爆発しその残骸が当たりに散らばった。

エネルギーを発していたコアから小さな電流が残留していた。


「よくやったアルフ」


アルフは息を少し切らしながらも、カウント300の時間の心配をしそうにジンを見る。


「なに問題ない。この程度は想定の範囲内だ、さぁプランBまでに間に合わせるぞ。

 でないと、またアキがうるさいからな。」


ジンの言葉にアルフはほんの少し笑みをこぼしながらも

そのまま2人は素早く研究所の西館の中へと走って行った。



最新記事

すべて表示

32話『アルメリアの鐘は訃報に鳴く16』

「ハァ──ハァ──ハァ──!」 森の中に散らばった、小さな枝木や落ちた枯れ葉を、縦横無尽に後ろに蹴り上げながら、セティナと仮面の男はウルジの森を走り抜ける。 死の淵に立った事、そして荒れた道を全力で走る──なんて事に慣れていないセティナの呼吸は、仮面の男に比べてわずかに荒くなっていた。 セティナの瞳に、褐色肌の男の背中と──そして肩から吊るして腰の後ろで揺れている、グルグルに巻かれた黄土色のラグマ

31話『アルメリアの鐘は訃報に鳴く15』

「──リゾルテ」 褐色肌の男が、口元で小さくつぶやいた。 それはまるで、黒──いや白い色素をすべて反転させたかのように、不気味な三日月状の斬撃が空間を切り裂いた。 残像が瞬く間に消えていくとともに、セティナたちを包んでいた青いドームが、まるで壊れたステンドガラスのように破片となって地に落ちた。 その─無数に散った破片たちは、青い輝きを放ちながら拡散するように消えていく── 「────え」 セティナ

30話『アルメリアの鐘は訃報に鳴く14』

セティナの指先が震えていた。 自身の眼で、初めて人の死を見た恐怖が体の感覚を鈍らせるのか、剣を手にとる事を防衛本能が止めていたのだろうか。 そんな自身の指先が震えてるの見て今、自身が置かれている状況を冷静に再認識しようとした。 ザヤックは恐怖のせいか、空虚を見るかのように前方を見ていた。 セティナは自身の斜め前で怯えているザヤックの横顔を見て、今できる──たったひとつの選択を精一杯叫んだ。 「──

Bình luận


bottom of page